映画好きは映画Tシャツを着て映画を見に行くか

とある映画Tシャツ好きの、記憶力の悪い男が映画を見た感想を忘れないように書き綴っていく感動の物語

JOKER

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アメコミらしくないアメコミ映画。

一言で言うなら『21世紀のタクシードライバー』。

絶望的な日々を生きるアーサーがJOKERになるまで、と言うエピソード0的な映画。

アーサーの悲しさと狂気を孕んだ笑い声と独特な踊りが印象深い。

 

 

鬱な映画ってことでなんとなく延び延びになっていて、遅ればせながら鑑賞。

観てみると主人公のアーサーは確かに絶望的で世の中に裏切られ続け、救いのない鬱屈したシーンが延々と続くが、見ていて精神的にもっと辛い映画はあるし、暴力もタランティーノ映画に比べればそこまでではないし、評判ほど鬱になる映画ということもなかった。逆に皆そんなにハッピーな映画ばかり見ているのかと思わなくもなかったり。

 

観ている者はアーサーが社会から裏切られ、憧れの存在から裏切られ、最も身近な存在にも裏切られる様を見せつけられるうちに、早く悪のカリスマとして覚醒して欲しいと思うが、話の構成的にアーサーが孤独で抑圧されているほど精神が解放された瞬間の爆発力が大きくなるのでまだまだここは怒りの貯蓄期間だと思いアーサーの厳しい生活を共に耐える。

そして、数々の裏切りと絶望の末に悪のカリスマJOKERが誕生した瞬間、精神の解放されたアーサーにある種の安堵感を覚える。

 

冒頭にアメコミらしくないアメコミ映画と書いたが、一般的なアメコミより心情や人物を深掘りしているのでアメコミらしくなく感じるのだと思うし、仮にアメコミじゃなくてもいい映画として仕上がりそうな出来で、残酷で無慈悲な社会とうまく関われない孤独な人間の暴走と言う構成がタクシードライバーを彷彿とさせる。

 

タクシードライバーの持たざる側であるトラビスだったデ・ニーロが、持つ側だったのがまた象徴的に映った。

ビンセント・ギャロ演じるバッファロー66のビリーもちょっと彷彿とさせたけど、あっちは悲壮感漂うもののコミカルでハッピーな話だからね♪