映画好きは映画Tシャツを着て映画を見に行くか

とある映画Tシャツ好きの、記憶力の悪い男が映画を見た感想を忘れないように書き綴っていく感動の物語

サブウェイパニック

レザボアドッグスの冒頭シーンが最後の晩餐風になったデザインのレザボアドッグスのTシャツ


 

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1974年に公開された地下鉄ジャックの犯罪映画サブウェイパニック。

古くはスティングや狼たちの午後とか、比較的新しいものだったらスナッチとかこういう犯罪計画を題材にした映画は結構好きです。この手の犯罪映画は犯人たちが追い詰められていくパターンと、うまく警察側を出し抜き目的を遂げて最後にスカッとするパターンがありますがどちらも良いです。結末はもちろん大事ですが結末までの経緯や、追う側と終われる側との緊迫感がある中での洒落たユーモアのある会話、完全には信用できない仲間内とのやり取りなどが楽しめる点が好きなのかもしれません。

 

サブウェイパニックもそういった点で楽しめる映画で、今見ると時代的な雰囲気や、設備の無骨さなども相まっておっさん同士の硬派な熱いぶつかり合いが見られます。目の保養になる綺麗どころの女優もいないし、現代のアルミニウム合金製ではなく鋼鉄のボルトで組み立てられているごつごつとした地下鉄や、管理設備の四角さがより男の硬派な戦いを演出しているように見えます。また、時代的にまだまだ女性の地位が低いせいか女性を見下したセリフが結構あります。

昔だからおおらかと言うか大味に感じる部分も結構あって、交渉人の窓口の刑事は結構犯人に悪態をつくシーンもあり、今だったらもうちょっと嘘でもやんわりやりそうな気もします。ストーリー的には結構シンプルで、伏線らしいものは「くしゃみ」ぐらい。時間との戦いや犯人との交渉など、ここはハラハラするところなんだろうなというところもちょっと迫力不足で刺激が足りません。CGがない時代だからとかそういうことではなくて、今だったらもっとハラハラさせる演出をするところが結構淡白になっています。時間でハラハラならジョニー・デップのニックオブタイムのほうがずっとハラハラします。

それも含めて時代の雰囲気や人間模様を楽しめる名画ではあります。

サブウェイパニックで地下鉄ジャックをする犯人グループはそれぞれMr.ブルー、Mr.グレーなど色のコードネームで呼び合っていて、タランティーノはこの設定をレザボアドッグスで引用したそうです。サブウェイパニックの危ない射殺魔Mr.グレーはおそらくレザボアドッグスのサイコ野郎Mr.ブロンドの元と想像できますね。もっと過激になっていますが。

そう考えるとタランティーノは色のコードネームという設定だけでなく、決して一枚岩ではない仲間内との関係性や地下鉄を倉庫(死体置き場)に置き換えた密室劇などのエッセンスに、さらに独自の味付けを加えてうまく仕上げているのだなと感じます。

サブウェイ123というデンゼル・ワシントンとトラボルタでのリメイク版もありますので見比べてみるのも面白いかもしれません。

例えるなら今日はガッツリ焼肉食いたい!というのではなくて炊き込みご飯でも食べたいなーぐらいの気分の時にちょうどいい映画です。